通常水の接触角が10度以下の場合を超親水と呼ぶようです。超撥水が150度以上の接触角であることを考えるととかなり敷居の低い「超」と言えます。実際10度の接触角はそれ程難しい技術ではありません。大きくは以下の方法が用いられます。
表面を親水基で覆う
親水基とは水分子と水素結合などによる弱い結合をつくる原子団であり、水酸基・カルボキシル基・アミノ基・スルフォン基などがあります。経験的には水酸基<カルボキシル基<スルフォン基の順に親水性が強くなります。
経験則で申し訳ないですが官能基の酸素が水素と結びついているか二重結合で他の原子と繋がっている場合に親水性を示すようです。
そういった親水基で覆われた表面に垂らした水滴は、親水基と水の相互作用(=水素結合)が水の表面張力を上回ると接触角の大きい状態(極端に言えば半球に近い状態)にはなれません。
原理的には同じですが有機化学的な親水基ではなく無機化学的親水基で覆う方法もあります。
もっとも簡単な例で言えば出来立てのガラスの表面は超親水性です。ガラスメーカーでなければめったに見れない状態ですが。製造直後からガラス表面は急速に変化し、ガラス内部からのNaやCaと外気のCO2やH2Oが反応してNaCO3やNaHCO3,CaCO3などの極薄膜が形成され超親水状態が失われます。しかし丁寧な研磨を行えば短時間ですが超親水状態は復活します。
ガラスで様々なものを覆うというのも限界があるので別の無機化学的親水性コーティングとして光親水性物質があります。
うろ覚えなので間違っていたらごめんなさいなのですが、光触媒として有名な酸化チタンなどは紫外線を吸収するとそのエネルギーでTiO2の酸素原子が離脱し、そこに水分子が吸着しやすくなることで親水性が発現したと思います。
しかし屋内用途ではその効果もあまり期待出来ません。窓から入る紫外線も窓から1m離れれば屋外の5%まで減少します。屋内照明器具による紫外線も屋外の1000,000J/m2に比べて360J/m2と0.1%以下しかないのです。
表面を粗化して水を広がりやすくする
カタツムリの殻が何時も綺麗なのと似た話です。カタツムリの殻には細かい溝が並んでいてその溝に沿って水が流れていくようになっています。その際に空についていた油などの汚れも浮いて流されます。
同様に微細な溝があり溝の内面の表面張力が水より大きければ、溝の一端に垂らした水は溝に沿ってどこまでも流れます。水平方向の毛細管現象と言えます。水平方向なので重力との平衡状態が無いのです。
水でなくても微細凹凸があれば凹の部分を距離の短い溝に見立てて同様の現象が起きます。