Whole-Nano Japan 技術紹介

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超親水
コーティング

型番

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【1】 型番

代表的な型番であるPhilicon12を紹介します。
残念ながら接触角が測定不能という異常な超親水性を示すPhilicon12Eは今のところ上市の予定がありません。施工において塗布後拭き取りが必要になり、その際にナノ粒子のダストが発生するのが理由です。Philicon12 はそういった環境汚染の心配がほとんどありません。
塗工環境が管理された工場等で使用したいという要望があれば上市します。
またPhilicon12はPVモジュールの防汚コートとして利用されており、その用途に限定したTDSもありますので紹介しておきます。

型番 用途 TDS
Philicon12 汎用
PVモジュールの
防汚コーティング
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用途

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【1】 PV:易洗浄性

現在Philicon12がもっと多く使用されている用途です。使用先は中国です。
PVモジュールのカバーガラスは屋外使用である為多くの汚染に曝されます。黄砂や花粉そのた粉塵、排気ガスや台所から出るオイルミスト、カビ、鳥の糞、数え上げれば限がありません。
しかし一般にPVモジュールは建物の屋上など人の手に触れにくい場所にあり汚れたらと言って気軽に洗浄出来るものではありません。かと言って放置しておくと汚れは蓄積し、初期出力値の数割の発電量になることがあります。

そこで役立つのがPhilicon12です。Philicon12をPVモジュールのカバーガラスに塗布することで、降雨時に雨水がガラス上の汚れを容易に洗い流してくれます。易洗浄作用と呼びます。 またPhilicon12は光触媒を含むため、太陽光により表面の有機物系汚れを分解する自己洗浄作用もあります。
しかし、降雨量が多くパネルの角度が大きい日本では元々それほど汚れによる損失が大きくなさそうです。

実際に中国のソーラーファームにおいて未塗布のモジュール54pと塗工したモジュール54pの出力を比較してみました。
結果塗工したモジュールの方が数ヶ月に渡り出力が3%強高くなっています。この効果は今も継続中です。

参考:
中国のソーラーファームでは傾きが小さいパネルが多く見られます。
東京と山東省青島、鹿児島と上海がほぼ同じ緯度であり、広州、深センなどは台湾の台北よりも南に位置しています。赤道に近くなるほどパネル角度は0に近くなります。
パネル角度が小さくなると降雨でも汚れが流れ落しにくくなります。
一方パネル角度が小さいことが塗布作業の助けになることもあります。
右の動画Philicon12を塗工するためのロボットです。1分間に5枚以上のパネルに塗工出来ます。中国も人件費が高くなっていますのでこのようなロボットが必要になっているのです。

【2】 カーウィンドゥ:防水滴

対象となるのはサイドウィンドゥとリアウィンドゥの外面です。右図の②と③に当たります。
カーウィンドゥのコーティングには撥水派と親水派がおられるので、本件は親水派の為の用途紹介になります。 なお、フロントガラス(右図の①)には決して使用しないで下さい。走行時に水膜が波打って視界が歪み非常に危険です。

目的は雨天時の視界を少しでも良好にするためです。
右に紹介用動画を載せますのでご覧ください。

【3】 浴室ミラー:防汚・防曇

浴室のミラーの表面は汚れて曇りがちです。
Philicon12を塗布しておくと水を掛けるだけで汚れが洗い落とされ、表面にしばらく保水される為曇り止めになります。
しかし、シャンプーやコンディショナーには水酸基よりも親水性の基を持つものが多く、そういった物質がミラーのガラス面に付着すると水を掛けただけでは簡単には取れなくなります。これはほとんどの親水性コーティングや防曇コーティングでも解決出来ていません。このような場合は水を掛けて軽く拭いていただくことが効果的です。
右の動画は実際の浴室ミラーではなくハンドミラーを用いています。

【4】 窓ガラス:防汚

窓ガラスは放置しておくとドンドン表面にスケイル:鱗と呼ばれるNa2CO3、NaHCO3、CaCO3などの化合物の混合体が成長します。
窓の内側ならばお酢やクエン酸など酸で洗えば綺麗になります。
しかし窓の外側は清掃作業が困難なケースがあります。例えば右の写真のような高所危険作業です。
このスケイルの発生を加速する一因は水滴です。水滴は完全に乾くまで時間が掛かります。その間にガラス内部からNaイオンやCaイオンが溶け出すのです。
仮に水滴の半径が3mmで接触角が90度であれば3mm/hの乾燥速度で乾燥に1時間かかります。しかし水滴にならずガラス全体に0.5mm厚に水が広がっていれば乾燥に要する時間は10分です。
また超親水コート剤がガラスからのNaイオンやCaイオンの移動のバリヤーになることもあり、スケイル防止により役立ちます。

【5】 エアコンの熱交換器:防水滴

一般的には知られていない業務用用途の一つですが、エアコンの熱交換器はクーラーとして使用中に結露します。その水滴が送風の抵抗となります。
この技術は既にほとんどのエアコンに使用されています(他社材料ですが)。さほど接触角の小さくない塗料でも使われているのであまりシビアな性能は要求されないようです。

【6】 その他の用途

水回り:
基本的にガラスと反応するように設計していますが、陶器や一部の金属にも使用出来ます。
トイレなど水を掛けることが容易な場所には防汚コートとして使えます。
浴室の壁などは少し塗り難い場所ですが、下地を用いて処理出来れば湿気は水滴になって残ることなく膜になって流れ落ちる為乾きが早くなります。その分防カビ等の効果も期待出来ます。
ガラストップ:
コンロにはガラストップ製も多くあります。油が飛び散っても少しの水で拭き取り易くなります。レンジの炎の輻射熱程度では熱ダメージを受けません。
また机などでもガラストップであれば何かこぼした際の拭き取りを容易にします。

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使用方法

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【1】 保管

直射日光を避け、容器を密閉し換気の良い冷暗所に保管して下さい。

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【2】 塗布前作業

風が強い状態や基材表面が熱い状態では塗布を控えて下さい。
マスクやメガネ、保護手袋など保護具を装着して下さい。

塗布する素材の表面をきれいにしてください。ガラス表面に対しては最終仕上げにPhilicon13の使用をお勧めします。

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【3】 塗布作業

スプレーボトルはよく振ってからご使用下さい。
直接スプレーするか一旦コットンパフなどにスプレーした後そのパフで基材表面を拭く方法をお勧めします。 スプレーノズルと素材との距離は10~15センチが適当です。
スプレーボトルを滑らかに左右に動かしながらスプレーすると薄く均一な塗膜が得られます。

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【4】 塗布後

塗布後しばらく放置すると乾きます。乾けば終了です。

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超親水学

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【1】 超親水に関連する理論
【1-1】 接触角に関する理論

接触角に関する理論は "超撥水コーティング 超撥水学 【1】 超撥水に関連する理論 【1-1】 接触角に関する理論" においてWenzelの式やCassie-Baxterの式の説明をしているのですが、実はこれ以降に述べる話はそれらの式が適応出来ない領域になります。
特にWenzelの式は表面を粗くして”真の表面積/投影表面積”比を大きくした親水性表面には適応していません。 またCassie-Baxterの式も基本的に2種類の材料(1種類は空気でも可)による表面の場合の計算であり、以下のように表面を粗した1種類の材料の場合は適応しません。
従って「超親水」における接触角予測に用いる事が出来る式が無い為、多分に経験則のような話になります。

【1-2】 超親水化技術

通常水の接触角が10度以下の場合を超親水と呼ぶようです。超撥水が150度以上の接触角であることを考えるととかなり敷居の低い「超」と言えます。実際10度の接触角はそれ程難しい技術ではありません。大きくは以下の方法が用いられます。

表面を親水基で覆う

親水基とは水分子と水素結合などによる弱い結合をつくる原子団であり、水酸基・カルボキシル基・アミノ基・スルフォン基などがあります。経験的には水酸基<カルボキシル基<スルフォン基の順に親水性が強くなります。
経験則で申し訳ないですが官能基の酸素が水素と結びついているか二重結合で他の原子と繋がっている場合に親水性を示すようです。
そういった親水基で覆われた表面に垂らした水滴は、親水基と水の相互作用(=水素結合)が水の表面張力を上回ると接触角の大きい状態(極端に言えば半球に近い状態)にはなれません。

原理的には同じですが有機化学的な親水基ではなく無機化学的親水基で覆う方法もあります。
もっとも簡単な例で言えば出来立てのガラスの表面は超親水性です。ガラスメーカーでなければめったに見れない状態ですが。製造直後からガラス表面は急速に変化し、ガラス内部からのNaやCaと外気のCO2やH2Oが反応してNaCO3やNaHCO3,CaCO3などの極薄膜が形成され超親水状態が失われます。しかし丁寧な研磨を行えば短時間ですが超親水状態は復活します。
ガラスで様々なものを覆うというのも限界があるので別の無機化学的親水性コーティングとして光親水性物質があります。
うろ覚えなので間違っていたらごめんなさいなのですが、光触媒として有名な酸化チタンなどは紫外線を吸収するとそのエネルギーでTiO2の酸素原子が離脱し、そこに水分子が吸着しやすくなることで親水性が発現したと思います。
しかし屋内用途ではその効果もあまり期待出来ません。窓から入る紫外線も窓から1m離れれば屋外の5%まで減少します。屋内照明器具による紫外線も屋外の1000,000J/m2に比べて360J/m2と0.1%以下しかないのです。

表面を粗化して水を広がりやすくする

カタツムリの殻が何時も綺麗なのと似た話です。カタツムリの殻には細かい溝が並んでいてその溝に沿って水が流れていくようになっています。その際に空についていた油などの汚れも浮いて流されます。
同様に微細な溝があり溝の内面の表面張力が水より大きければ、溝の一端に垂らした水は溝に沿ってどこまでも流れます。水平方向の毛細管現象と言えます。水平方向なので重力との平衡状態が無いのです。
水でなくても微細凹凸があれば凹の部分を距離の短い溝に見立てて同様の現象が起きます。

【2】 Whole-Nanoの技術
【2-1】 性能
濡れ性

Whole-Nanoは上記2種類の手法を併用しています。
現在は表面を覆う官能基に水酸基を使用していますが接触角については十分な数値に達しています。カルボキシル基などのようなより親水性の官能基を導入することも可能ですが、それらは汚れとの密着力も高い為慎重な検討が必要です。
水平方向の毛細管現象により水はいつまでも広がり続けながら乾きます。液滴法では接触角が測れないという異常な現象です。

防汚性

youtubeなどでもよく見られる動画です。
超親水コーティングされたガラス上に油性マジックで書いても水がインクの下に浸み込むことでインクが剥離します。

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FAQ

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【1】 性能について

市販の超親水コート剤と何が違うの?
原理は似ていますが、Whole-Nanoはナノ構造を重要視しています。
市販品には有機系と無機系があります。屋外使用を前提としている製品は概ね無機系が多いようです。しかし無機系には太陽光が無いと効果が薄い、価格が高い、塗工や硬化方法に制約があるなどの指摘を多く見かけます。
Whole-Nanoはそれらの課題を解決する為光触媒とナノ構造の2つの技術を組み合わせています。
また、以下の点にこだわりを持って材料設計をしています。
・ 水系なので環境に優しい。
・ 透明度が高い。
・ 自然硬化。
・ 面積価格を通常のペイント類と同程度かそれ以下にしたい。
塗膜は透明ですか?
極めて透明です。
またいくつかのコーティング剤にみられるような虹模様(干渉縞)を起こさないような薄い膜厚に仕上がります。
どれくらいの期間性能が持続しますか?
塗膜は無機系なので長寿命です。
機械的に削らない限り塗膜は通常の環境では不変です。
性能が落ちる場合はほとんどが汚染です。カルボン酸やより強い極性基を持つ汚染物質は雨ではなかなか落ちません。
水を含んだスポンジかアルコール綿でそっと擦ると性能が復活することがあります。
防曇性能もありますか?
あまり強い効果はありません。
市販品の中には水を掛けると曇り止めになるという文言を見かけるものもありますが、これは本来の防曇コートではないと考えます。(カーウィンドゥの内面に曇りが発生した場合水を掛けたり出来ません、)
Philicon12も同様で、一度水を掛けると曇り止めになりますが、乾いた状態では強い防曇効果が出ません。これは塗膜表面に着いた微細な粉塵がピン止め効果で水膜の広がりを妨げるからです。
その為Whole-NanoではPhilicon11という防曇専用コーティング剤を開発し製品化しています。
保存は出来ますかか?
未使用ならば製造後2年まで使えます。
長期間使用していない場合は使用前によく攪拌して下さい。スプレー缶の場合は良く振って下さい。
使用途中の状態で保存した場合はノズル部分が固まることがあります。申し訳ありませんが、その場合は再使用が出来なくなりますのでご注意下さい。
【2】 用途について

塗ってはいけないものってありますか?
以下の用途には使用しないで下さい。

1) 人体や動植物
有害物質は含みませんがすべてのコート材は呼吸器系などにダメージを与える可能性があります。
2) 食べ物、食器や調理器具など
毒物ではありませんが、消化器系などにダメージを与える可能性があります。

※ ただし調理器具類についてはデータ取得が出来れば使用出来る可能性はあります。
基本的に安全な物質で構成されている上、耐熱性も500度以上あります。例えばフライパンに用いると油汚れが水だけで落とせるようになるかも知れません。データが出るまでは使用不可という扱いです。
こういった用途に超親水コーティングが利用されている前例があまりありませんので実用化出来れば初めてなのかも知れません。

【3】 施工について

注意点は何ですか?
通常の水系塗料と同じです。
火気や作業環境などには注意が必要です。
スプレーボトルは良く振ってから使用して下さい。
スプレー以外にもディップ、ロール、ナイフコートなど様々な塗布方法が選べます。
1Lの塗料でどれくらいの面積に塗れますか?
平滑な基材なら0.5%濃度品1Lで8-10m2に塗れます。
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